小田急線の小田原駅より3駅だけ新宿方向に進んだ「富水駅」から、広範囲に拡がっている『富水商栄会』。

静かな住宅街の中に商店が点在する富水商栄会は、昔から残る自然もふんだんで、ぼんやり景色を楽しみながら散策するのにうってつけ。

流行りのカフェや新進気鋭の店舗などはありませんが、むしろそれがこの商店街の良い所。猫が我が物顔で闊歩していたり、歴史感じる看板が今でも掲げられていたり…そんな風情あるナイスビューが楽しめる、現代には珍しい貴重なエリアです。

富水商栄会の自己紹介がてら、周辺の風景や加盟店などもご紹介。私たち『富水商栄会』はこんなところです！

富水駅のすぐ脇にあるのは、「富水の井戸」。

ここ「富水（とみず）」は、豊かに湧く清水から「水が富むところ」に由来して街の名称がつけられました。この「富水の井戸」の清掃・美化活動も、実は私たち『富水商栄会』の大切な役目なんです。

井戸の手押しポンプが汲み上げた豊富な水は、すぐ隣の小さな池に流れ込みます。澄んだ池にはタニシもたくさん生息。

大きく目立つ井戸ではありませんが、清らかな富水のシンボルとして愛されています。光を受けてキラキラと輝く水面（みなも）を眺めているだけで、なんだか心が穏やかになってきませんか？

富水商栄会の目印は、このホタルが描かれた看板。清らかな水が豊富なことで知られる富水は、「ほたるの里」としても知られているんですよ（看板にもしっかり書いてありますね）。

ちなみに撮影した日は大当たり！雲のない晴天でした。『富水商栄会』の看板が青空に映えます！

富水商栄会でお菓子屋さん…と言えば「創菓工房なかじま」。

おどけた表情が可愛い「ホタルサブレー」は、食べるのがもったいないくらいキュート！お尻の光も忠実にアイシングで表現。ご覧のようにどれも表情が違います。

商品は店内でひとつひとつ製造。洋菓子も和菓子も揃い、お値段もリーズナブルな、長く地元民に愛されるお店。こういうお店、商店街にひとつあると便利なんですよね。

こちらは富水駅からすぐの「ひさご寿司」。店頭ショーケースを覗くと…なんとも美味しそう！お寿司だけでなく蕎麦やうどんも楽しめる、地元で知らない人はいないという名店なんです。

『富水商栄会』一帯でも、歌川広重の浮世絵「小田原・酒匂川（東海道五十三次）」をモチーフにした小田原市のマンホール蓋が使用されています（旅人を担いで酒匂川を渡るふんどし姿の人夫のたまらない）。

この小田原城と雄大な自然を描いたマンホール蓋と、未だ残るレトロな雰囲気が調和した街。

あちこちに懐かしい街並みが残り、古き良き時代が見え隠れするのも富水商栄会エリアの良さなんです。

青色の石が混じる個性的な道路（富水商栄会エリアの一部で見られます）も、何だか素敵だと思いませんか？

この道路がどこにあるか、地元民ならもうおわかりですよね。こんなちょっとした「宝探し感」もエリアのあちこちで楽しめます。

富水商店街エリアの端っこで目を惹くのが、こちらのパ・ドゥ・ドゥ（2人の踊りの意）を踊る影。

日本人なのか？外国人なのか？どんな舞台で踊っているのか？妄想がどんどん膨らんできます（現在、店舗は営業をしておらず真意は不明）。

「セキショー」は古くから学生服や体育着を扱うお店。学用品だけでなく、名入れタオルやカタログギフトなどの贈答品、オリジナルハンドメイド商品、インテリアなど幅広く取り扱っています。

店舗に書かれたキャッチコピー「選べるギフト・気のきいた品勢揃い」に恥じない商品ラインナップ。

こういうお店も、商店街にひとつはないと困るんですよね。

普段、気にせずお店の前を通過しているという方も多いと思いますが、ずっとずっと前に設置されたであろう「sekisho」の看板、今でも十分にお洒落に見える粋なフォント使いなんです！

富水商栄会って、看板を見上げて歩いているだけでも楽しい。

もう閉店・移転しているお店もいくつかありますが、未だ残された看板を眺め「どんな商品を売っていたんだろう…」「店主はどんな人だったんだろう…」と妄想するのも楽しいと思います。

ほら、こちらの「クレオ動物病院」は、わかるでしょうか…看板に猫！見事な躍動感です！

富水商栄会エリアにある郵便局。

この個性的、かつポップに大切なことを伝えようとしている「無断 駐車 停車 禁止」の看板に目を奪われるのは、私だけでしょうか？

撮影日、「花松屋」の店頭では大量に並んだミカンが通行人の目を惹き、足を止めていました。太陽のように輝くミカンが美味しそう！

ミカンたちを大切に。ちゃんと日除けをしてあげています。

ガラスに貼った手書きの「いつもの漬物販売中」。「いつもの」の安定感！書き手のセンスの良さがにじみ出ていますよね。

工具・金物店「星崎久吉商店」も富水商栄会の加盟店。これまでも、これからも、多くの職人さんを支える頼りがいのあるお店です。

素朴で自然が溢れ、そして面白い『富水商栄会』。

ぜひ晴れた日にゆったり散策しながら、面白い発見＆妄想力を発揮してください。晴天の日も最高ですが、雨天の日もまた違った印象を持たれるはず。

加盟店数が多い商店街ではありませんが、それぞれのお店が元気はつらつ頑張っています！

小田原の商店街をまさにふるさとにする人たちが、日頃から、あるいはハレの日用に、愛してやまない物品の数々。なかなか小田原まで行けない、という方にもお届けすべく、いろいろと選りすぐり＆取り揃えてみました。